審査委員Judges

浅井 愼平

審査委員

浅井 愼平写真家

略歴

1937年 愛知県瀬戸市生まれ
1968年 早稲田大学政治経済学部中退

日本広告写真家協会賞、東京アートディレクターズクラブ最高賞、日本写真協会作家賞等、受賞多数。
写真表現の他に文芸、工芸、映画製作、音楽プロデュース等、幅広く活動著書多数。

コンテスト参加者へのメッセージ

これまで文芸、音楽、絵画、写真などさまざまな分野の審査員を務めてきたが、すべてのコンクールに共通する悩みは、主催者の真意が伝わりづらいことだ。新しい素材であるCLTついて応募者がどれだけ深く考えているかを、ぼくは作品から読み取りたいと思う。CLTは一義的には建築材料だが、建築以上の存在としても扱える。また建築も建築のみにとどまらず、思考の延長線上にある存在のはずだ。考えていくうちに、CLT以外のこと、環境、歴史、先人の知恵についても学ぶことだろう。けれども思考のあらわれは抽象的なもので終わってはならず、具体的イメージをつくり上げることが重要だ。時代そのものの批評となるような、歴史への、人間への寄与をおおらかに表現するような作品を楽しみにしている。

涌井 史郎

審査委員

涌井 史郎造園家

略歴

1945年生まれ
1972年 東京農業大学 農学部造園学科に学ぶ。

現在、社団法人国際観光施設協会・副会長、東京都市大学・特別教授、東京農業大学・客員教授、岐阜県立森林文化アカデミー・学長、公共建築賞選考委員、(財)とうきゅう環境浄化財団・理事など多方面で活躍。
国土交通大臣表彰、黄綬褒章受章、日本公園緑地協会「佐藤国際交流賞」受章。「景観十年、風景百年、風土千年」と唱え、人と自然の空間的共存を図る造園技術をベースに数多くの作品や計画に携わっている。

コンテスト参加者へのメッセージ

これからの社会が解決すべき課題のひとつは、現在地球規模で起きている気候変動に対する対応である。2015年は、国連サミットでSDGsが採択され、COP21でパリ協定が採択されるなど、節目の年となった。2018年には環境省において、パリ協定採択後採択後初めてとなる「第五次環境基本計画」が策定され、その中で地域の活力を最大限に発揮する「地域循環共生圏」の考え方が新たに提唱された。これは各地域が自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完しあう仕組みである。わが国では既に江戸時代にこの仕組みが実現されており、貨幣ではなく、木材をはじめとする地域資源を地域の為に活用していた。
今回のコンテストではCLTという木質系材料を土木的分野などにも活用することで、社会の構造をコンクリートや鉄主体の「グレーインフラ」から木材主体の「グリーンインフラ」へ転換し、新しい地域循環型インフラを形成しうる大胆な提案を期待している。

新居 千秋

審査委員

新居 千秋建築家

略歴

1948年 島根県生まれ
1971年 武蔵工業大学工学部建築学科卒業(現 東京都市大学)
1973年 ペンシルベニア大学大学院芸術学部建築学科修了

ルイス・カーン建築事務所などを経て、80年に新居千秋都市建築設計を設立。東京都市大学、東京理科大学理工学部、東京工業大学、ペンシルバニア大学、シンガポール大学歴任。
主な作品に、水戸市立西部図書館、黒部市国際文化センター/コラーレ、横浜赤レンガ倉庫、大船渡市民文化会館・市立図書館/リアスホール、新潟市港南区文化会館、新潟市秋葉区文化会館、由利本荘市文化交流館/カダーレ。
建設大臣賞、日本建築学会賞、日本建築大賞、JIA25年賞、グッドデザイン賞など多数受賞。

コンテスト参加者へのメッセージ

私が学んだ1970年代初頭は、欧米では地球環境主義の出発点の時代であった。レイチャル・カーソンの「沈黙の春」やローマクラブの「成長の限界」、ラブロック博士のガイアの理論で提唱された1.自然の生存権の問題 2.世代間倫理の問題 3.地球全体主義等々に影響を受けた。2000年代の初頭に6年間、創造的保全=散居村田園空間計画を農林省構造改善局と富山県の仕事として富山県砺波平野で取り組んだ。屋敷林と周りの畑による自給自足、50年経つと成長する木を切って家を直し、200年くらい持たせる手法。人工衛星によるチェックでは畑のある部分はアスファルトのある部分に対して4度(クーラー9台分)低い等々を学んだ。田園に現代の技術とうまく融合して住まうという散居村田園計画や、息の長い計画を続けている富山県には、それも若い人の流入が続いている。CLTのアイディアコンテストにも、単なる構造材と考えるのではなく、人間のための建築だけに限らず、もっと地球環境、地球上の他の生物等も含めて発想力豊かな奇想天外な案を期待している。