CLTアイディアコンテスト2020

結果発表Result

  • CLTアイディアコンテストは、2015年に第1回を開催し、第3回(2017年)から「設計部門」を設け、実現性のあるCLT建築物の提案の募集も始めました。今回は、地方創生をはじめ、防災機能や環境性能の向上のほか、新型コロナウイルスを想定した新たな生活様式など時代の要請に応える従来のホテル(宿泊施設全般)のあり方にとらわれない、「地域を活性化させるCLTホテル」をテーマに作品募集を行いました。その結果、103点(登録件数148件)の応募作の中から、審査委員による厳正な審査の結果、大臣賞3点、学生賞、特別賞の計5点が入賞されました。日本CLT協会は、今後も本コンテストを通じて、CLTの普及やCLTを利用した工法等の新たな技術開発を推進し、都市の更なる木造・木質化を目指します。

    大臣賞受賞者インタビュー動画

  • 設計部門審査会に立ち会う農林水産省、国土交通省、環境省の皆さん

    設計部門審査会に立ち会うオブザーバーの方々

    設計部門の審査風景

    設計部門の審査風景

    受賞作品

    入賞作品を前に審査委員、オブザーバーによる記念撮影

農林水産大臣賞

森をツムぐCLTホテル

白石 尚也/樋口 紗矢(九州大学大学院)CLTPL0029

  • 農林水産大臣賞
  • 農林水産大臣賞
  • 作品コンセプト

    敷地は熊本県南小国町の森林地帯で、250年の歴史をもつ林業が盛んな地域である。ここではCLTの新たな構法として、地場産小国杉を使用した厚さ270mmのCLT壁と六角形ユニットを「積む」手法を用いた。六角形ユニットは建築を構成する8層の大きな壁の梁として機能し、そのサイズによって客室やショップ、レストランなどが割り当てられる。建築は2棟構成で、棟間に六角形ユニットが浮かぶようにせり出す「森のステージ」が生まれる。敷地の傾斜に沿った階段状の「森のステージ」では、林業従事者による木育ワークショップやギャラリーが開かれ、地域住民や宿泊者が憩うパブリックな空間となる。また、ホテル収益の一部を森林の管理費に充てることで保全を促し、地元ブランドと提携して小国杉を活用した家具やアメニティを設えることで、宿泊という体験から小国杉の素材としての魅力も感じることができる。構法からホテル運営に至るまでの一連のプロセスを通じて、地場産業を活性化し森を未来へ「紡ぐ」、CLTを活用した建築生産と新たな空間構成手法の提案である。

    作品について

    林業が盛んな熊本県の小国町に建つホテル。木をふんだんに使っていて空間が楽しげで豊かに感じるような巧みな表現力が素晴らしい点や、CLTのボックスを積むだけでなく違うところで壁を確保して居室部分は開口を大きくできるという面白い手法も評価されました。さらにこの建築は都市部でも準耐火建築物として実現可能性が高い作品である点も評価されました。

国土交通大臣賞

CLTでGO

柄本 純夫/佐藤 圭祐/藤野 太知/進藤 正人/森 翔太/成田 政杜/加藤 幸恵(清水建設(株))CLTPL0111

  • 国土交通大臣賞
  • 国土交通大臣賞
  • 作品コンセプト

    森林資源が豊富な山間部にCLTホテル列車を走らせます。選定地域は絶景の秘境路線といわれる只見線です。CLTホテル列車の三角屋根の客室が連なり走るさまは、会津の奥深い山々や渓谷にマッチし冒険心がそそられます。この「走るテント型列車」は、風光明媚な四季折々の景観を最大限に感じられる開放感溢れる空間を提供します。列車の設備は最小限ですが、その不便さとひきかえに人間の五感が刺激されるアウトドア的な楽しみが体感できます。列車は駅に停車宿泊し、観光客は駅周辺地域で食事やトイレ、入浴施設を利用することで住民との交流や地域経済の活性化が期待できます。車両は客室の他、原木やCLT版を積載した構成にし、CLTの生産・輸送の過程をアピールする「走るショールーム」として活用でき、周辺地域の木材産業の振興を図ります。CLT版は版同士をヒンジでつなげると蛇腹のように折りたため、貨車の台車の上で滑らせると簡単にトラスの屋根が作れます。この設置が容易という利点は、災害時の仮設施設への応用ができるかもしれません。

    作品について

    移動物体である貨車の上に三角形を置いて移動空間を作るという単純ながらも非常に面白いアイデアが高く評価されました。林業が盛んな地域で森の恵みを体験できるホテルとして軌道を使うというストーリーと沿線のレストランを利用することで上手に沿線地域の活性化も考えられている点を含め、構造・製造においても非常に的を射た作品と評価されました。

環境大臣賞

CLTがつくる構造と風景

橋口 創史(風呂敷意匠設計舎)/藤岡 哲也(藤岡哲也設計事務所)CLTPL01112

  • 環境大臣賞
  • 環境大臣賞
  • 作品コンセプト

    CLTによる構造の力強さと木造の柔らかな表情により、地方の風景の美しさを再発見できる施設を目指しました。従来、木材は軸組構造の様に線材として使われてきました。CLTによって面材としても使用可能となり、木材は線材であり面材でもあるハイブリッドな使い方ができると私達は考えました。本施設では段ボールのペーパーコアの様な構造とし階層により向きを変え、CLTの様な違方向性のある全体で強い構造としました。三角形とアーチ形状の「グリーンボイド」を挿入し、人と人との間に自然を挟み込む事で、持続可能な人と自然環境の関係を築く事を指向しています。計画地は中山間地区の牧歌的な景色と、古くからの街道の要衝として栄えた町並が残る愛媛県内子町です。自然や町に対して選択的な観光が出来る様に、駅・街道とトライアングルを結ぶ川沿いの位置に計画し、内子町が観光消費をする場所から生産性を高められる場所へと変化することを指向したプログラムとしました。

    作品について

    この作品は、人が住むところと外界とのインタフェースを考え、人と人との間に自然環境を挟むという環境面でのアイデアとコロナ禍で注目されている全熱交換器を使った換気システムなど設備面のアイデアとCLTを使ってこれだけの造形的な美しさを表現できている点などが高く評価されました。また、一つひとつのホテルとしては小さい単位ながら、全体で町並みを造っていて、さらに防火や避難などについてもよく考えられている点などが評価されました。

学生賞〈日本CLT協会賞〉

#CLT

後藤 夕鯉(広島工業大学)CLTPL0046

  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 作品コンセプト

    ホテルは近年、行くこと自体に目的を見出し、そこでしか味わえないサービスや空間の提供が、人を集めることと大きく関わってくると考えられる。そこで、地域を活性化させるCLTホテルとして、地域の魅力を伝え、"このホテルに宿泊する"という目的がその場所を訪れるきっかけとなるようなホテルを考えていく。このホテルは出雲の風景に溶け込みながら、木の温もり溢れる空間になることで人をゆるやかに集める。CLTの板は上下左右にずれながら、重なり合ったり、向かい合ったりすることで多様な関係性を作り出し、それはまた時代や状況に合わせ組み換えることで変化していく。また空いた隙間に緑を取り込み、風が通ったり、光が差したりすることで、ほどよい自然を感じられる。そうして人々は様々な居場所を作り、思い思いの時間を過ごします。

    作品について

    垂直と水平の面材を組み合わせたコンポジションという風に考えて建築空間をつくっていく手法で、入ったらスッと先が抜けるという、部屋にいても気持ちよさそうな空間で水平と垂直の組み合わせがモダンできれいだったと評価されました。また、審査委員からはCLTが登場した頃からこのような組み合わせが提案されてきたものの、なかなか実現しなかった構造システム、これまでの手法ではやりすぎ感があったが、この案はシンプルで洗練されていて、日の目を見て欲しい構造システムだ、との高い評価がありました。

特別賞〈日本CLT協会賞〉

タンス ダンス

洲崎 洋輔(フリーランス)/寺田 彩瑛子(鹿島建設(株))CLTPL0121

  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 作品コンセプト

    CLTだからこそできる建築で街を元気にしたい。空調・換気・採光等、制御され、均質に演出された快適性をもつ都市部のホテルに対し、私たちは、タンスの引出しを引くように、閉じた客室をひらく構成により、 雑然とした都市環境から選択した要素をとりこむ開放的なホテルを提案します。CLTの軽く、しなやかな特性を活かし、RCラーメンフレームにCLTの客室ユニットを挿入することで、最大6m跳ね出す客室・バルコニーを形成し、純RC造の建物ではできない浮遊感のある外観を生み出します。宿泊者がくつろぐ客室はCLTによる木質空間、共用部はRCフレームによって建物全体を支持することで、要求される空間の質に応じた構造を選択し、意匠と構造が一体となった明快な構成が実現します。CLT客室ユニットの凸凹が生み出す浮遊感は、街ゆく人々に木材の軽さ、しなり、力強さを感じさせ、 タンスがダンスする生き生きとしたファサードが、街に元気を与えることを期待します。

    作品について

    既存ストックの活用にCLTが向いていることを見出した点が評価されました。CLTがもつ面としての剛性を利用してボックスキャンチレバーのような形でテラスを作りながらも比較的荷重が小さくてすむように工夫しており、RCのフレームの中に、CLTのユニットを入れるというハイブリッドの混構造などが評価されました。また耐火建築対応でCLTの被覆として、床のRCのスラブを上手に使っていて、石膏ボードに被覆せずに、天井側の被覆にRCのスラブを使うという、耐火の技術面でもよく考えられていると評価されました。

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