CLTアイディアコンテスト2018

設計部門

テーマ|5階建て以下の事務所建築

募集内容

  • CLTアイディアコンテスト2018ポスター
  • テーマは「5階建て以下の事務所建築」です。CLTの普及が進むヨーロッパなどでは、CLTを採用することで中・大規模建築などのこれまでにない木造建築物が多数建てられるようになっています。CLTの普及を目指す日本においても、中・大規模建築へのCLTの適用は、これから目指していくべき大きなテーマです。

    今回はその中でも「5階建て以下の事務所建築」にたいする提案を募集する理由は、広く需要がある建物であり、全国的に波及効果も大きいからです。また、これまで木造のマーケットとして捉えられてこなかった新たな分野であることも大きな理由です。RC造等からのただの置き換えではなく、新たな価値を生み出すような提案を募集します。

課題

5階建て以下の事務所建築の設計のためには、構造、意匠、設備、性能(防耐火、遮音、温熱、施工など)上、解決すべき様々な課題があります。これらの課題にたいする提案を含んだ内容としてください。

鉄筋コンクリートや鉄骨、CLT以外の木質材料など、他の材料・工法と組み合わせてCLTを部分的に利用する提案も幅広く受け付けます。

設計は告示の範囲のものでも、告示の範囲を超えた大臣認定取得を想定した提案でも、どちらでも構いません。なお建築基準法上の、耐火構造等とすべき木造建築物の対象の見直し(高さ13m・軒高9m超 →高さ16m超・階数4 以上)についても、本コンテストでは法令の改正に先立ち、適用を認めます。

また事務所以外の用途の区画または階を設けることも可能ですが、建物全体の主要用途としては事務所としてください。

提案にあたっては、実在する任意の場所を設定してください。日本国内であればどの地域であっても構いません。ただし、どのような街のどのような場所かということも表現してください。

審査委員

  • 三井所 清典

    審査委員長

    三井所 清典

    芝浦工業大学 名誉教授

  • 坂本 雄三

    審査委員

    坂本 雄三

    東京大学 名誉教授

  • 腰原 幹雄

    審査委員

    腰原 幹雄

    東京大学生産技術研究所 教授

  • 安井 昇

    審査委員

    安井 昇

    桜設計集団一級建築士事務所 代表

  • 原田 真宏

    審査委員

    原田 真宏

    芝浦工業大学 教授

入賞作品

  • 本アイディアコンテストはCLTを使った「5階建て以下の事務所建築」というテーマを設定して行われました。5階建て以下の事務所建築の実現のためには、構造、意匠、設備、性能など様々な解決すべき課題があるため、これらの課題に対する提案を含んだ内容とすることとし、構造躯体については、鉄筋コンクリートや鉄骨、CLT以外の木質材料など、他の材料・工法と組み合わせてCLTを部分的に利用する提案も幅広く受け付けました。建設場所は、実在する任意の場所を応募者に設定してもらい、どのような街のどのような場所に建てるのかということも表現してもらいました。

    審査ではまず各審査員が応募作品を確認した後に候補作品を5点ずつの投票を行いました。その後、審査委員が各作品の感想を述べつつ、評価できる点や懸念する部分について協議しました。議論が尽くされた時点で農林水産大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞の決定を行いました。議論の段階で最終的に候補に残っていた作品についても、優れた提案であったため、協議の上1点を「特別賞」とし、「学生賞」は2作品へ授与することとしました。

  • 受賞者と関係者のみなさん

    受賞者と関係者のみなさん

農林水産大臣賞

New Standard for Wooden Architecture

川中 彰平(三井ホームデザイン研究所 施設設計部)CLTID 0036

  • 農林水産大臣賞
  • 農林水産大臣賞
  • 作品について

    審査員票4票が入った作品の1つで、さまざまな材料を組み合わせCLTとツーバイフォーをつなぐものとして、NLT(Nail Laminated Timber)を取り入れた作品です。発展していくアイデアとして評価され農林水産大臣賞の受賞となりました。

    審査委員からは「これまで何年かやってきて大きなものや工夫を凝らしたものも全国に事例が出てきています。今後展開を図っていくときに、ツーバイフォーとCLTの提案はよいと思います。」「平行弦トラスを設備、配管のスペースとしているのは、アメリカのツーバイフォーでは多くて日本では少ないと思います。これからこういうことも考えてほしいと思いました。」とのコメントがありました。

国土交通大臣賞

SOHO SHIN-IMAMIYA[コワーキングスペースを併設した事務所ビル]

好川 拓(好川拓建築設計事務所)CLTID 0043

  • 国土交通大臣賞
  • 国土交通大臣賞
  • 作品について

    シンプルなデザインの中に、どんな建物でもCLTにするのではなく、現行の準耐火でできる法規のなかでCLTの特長を生かした敷地と条件を設定した作品で、今後に普及していく可能性がある形式と評価されました。審査委員票4票が入った作品です。

    審査委員からは「パネルをきちっと構造体として使って現実的で、評価できると思います。」「圧縮側でCLTを使っていて、引っ張りが勝つスラブの方をコンクリートにし、庇部分で延焼を防ぐ。その考えが簡明にデザインに出ています。」とのコメントがありました。

環境大臣賞

CLT-Vault

中村 篤史(Kraft Architects)CLTID 0027

  • 環境大臣賞
  • 環境大臣賞
  • 作品について

    応募作品中、構造的な提案をした数少ない案で、空間のデザイン的な曲面をつくるためにCLTの圧縮でなめらかな曲面をつくり、アーチ状の鉄骨の間の空間を設備で使用。そのCLTを曲面で使用するアイデアと省エネルギーや空調への工夫が評価されました。こちらも審査委員票4票が入った案です。

    審査委員からは「遮音、断熱、調湿を最大限活かし環境大臣賞にふさわしいと思います。」「構造的に合理性を持ちながら、三層のデザインが大胆に出てくるのも面白い。」とのコメントがありました。

特別賞〈日本CLT協会賞〉

Cubic Shell CLT

熊谷 由章(大林組 中高層木造チーム)CLTID 0034

  • 日本CLT協会賞(特別賞)
  • 日本CLT協会賞(特別賞)
  • 作品について

    3階建ての応募作品が多い中、5階建てに挑戦した作品です。CLTの好きなところを刳り抜けるという素材感を活かしたデザイン的な面白さが評価されました。耐火について、準耐火と考えた場合、遮音と振動障害より重量を増やそうという考えになるのではとの指摘もありました。

学生賞〈日本CLT協会賞〉

CROSS OFFICE

吉田 茜(西日本工業大学大学院)CLTID 0035

  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 作品について

    オフィスの皆で使う気持ちのよい場所がダブルグリッドを使用することで、柔らかい木でも疑似的なスタンスがとれ、剛的な接合ができるのではと解釈され、そのデザイン性が評価されました。右上がりと左上がりのパネル交差点がもう少しあってもいいのではとの指摘もありました。

光差す木洞オフィス

中安 祥太(東京大学大学院 農学生命科学研究科)CLTID 0041

  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 日本CLT協会賞(学生賞)
  • 作品について

    5階建て以下の事務所建築の案で、消防設備と避難安全面が評価されました。また1FがRCで提案するという点も学生とは思えない優れた現実性のある作品だと評価されました。

  • 以上、6作品が受賞となりました。
    審査終了後には、審査委員に応募者の公表を行いましたが、学生はじめ設計事務所やゼネコンなどで実務に携わっている方々まで偏りのなく作品提出されていたことから、審査員からはCLTの社会的な認知度の向上が伺えるのではないかとの意見がありました。本コンテストがきっかけとなって多くの方々がCLTという材料に触れて、新たなアイディアをあたため、実務に展開されること、また、今回の提案が近い将来に実現することを期待しております。

  • 審査会のようす

    審査会のようす